※原宿表参道シティーキャンパスR４教室






君はよくそうしてる。

当たり前のように。

誰かに褒められるためじゃなく、

いい人を演出するためでもなく

掌（てのひら）で集めてゴミ箱に捨てる。

消しカス。

人に気づかれないようにやっているのはわかっているけど、

残念ながら、気づいちゃってた。





私が気づいていると、君は知らない。

「えらいね」

なんて口にしたとたん、安っぽくなるし。

だから思ったこと書いとく。








「美学がある人」

そう呼ぶことにしている。

他人がいる場所で気を配れる人。

できるようで、なかなかできない。

公共性が高い人って、あまりいない。







電車の中で我先に座ろうとする人、

友達と並んで歩いて道をふさぐ人、

混んでいるカフェで4人テーブルを1人で占有する人、

路上喫煙、歩きスマホ、

どれも公共の場で他人への配慮が欠落している。







まあ、人がどうであれ、美学がある人は美学を貫いて欲しい。

美学は美学がある人にちゃんと伝わるようになっている。

美学のない人に美学は理解できないのは当然なので仕方ない。

美は汚されやすいという事実があるから、

美学をもっている人たちは粗野な人たちに負けないことを願うばかりだ。







日本人には体系的な美学というものはないだろう。

わびさび？

少し違う。

唯一、「いき」という生き方があるが、絶滅危惧種だ。

人に気づかれることなく人の手助けをする、

他人のために命をかける「火消し」のような職業があった時代ならではの美学なのだろうか。






君は芸能の仕事をしている以上、人に見られる立場にあることが多い。

高校生ながらプロフェッショナルとして責任ある立場にもある。

一般的な高校生活を犠牲にし、人の役に立つため、仕事中心の青春を過ごしている。




仕事に対する美学は、仕事に美学をもつ人たちに認められる。

意外に思うかもしれないが、

消しカスを集める手の美学が理解できるのは、

会社経営者とかクリエーターとか多くの部下を指揮するリーダーとか、

人を見る目を鍛えている仕事のプロフェッショナルな人たち。

芸能に限ったことではない。

人が見ていないところで気づかれないように気を配ることから始まる物語が、

意外な展開になってゆくことが、美学がある人の人生にはあったりする。











2021年2月8日（月）

鹿島学園高等学校・鹿島山北高等学校連携施設

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崎山潤一郎