首都圏エリア
池袋サンシャインキャンパス(東京)
鹿島学園の最初の学習センター/since 2004【20周年】
2018.09.22 芸能活動と高校の両立
マネージャーもカッコよくないとダメですか?
(写真)原宿表参道シティーキャンパスR4教室
「ダメです。ちゃんとカッコよくしてくれないと」
私は高校生のサポートを仕事にしている。
高校生といっても働きながら高校卒業を目指す通信制の高校生。
生徒の半数は主にサービス業で、半数は芸能活動をする。
学習センターを池袋に構えて15年、昨年から新宿、原宿、渋谷でも行っている。
マネージャーもカッコよく、と主張するのは、アイドルグループのメンバーとして働くN(17歳・女子)。
所属するプロダクションで人事異動があり、新しいマネージャーが担当になったらしいのだが、そのマネージャーがあまりカッコよくない、という不満だった。
それに対して、50男の私が、
「マネージャーはカッコよくなくてもいいんじゃない?」
と放った一言に対する主張が先の「マネージャーもカッコよく」だった。
その場はそれで終わったのだが、どうしてマネージャーがカッコよくなければならないのか、ずっと引っかかってきた。
Nはかなり確信をもって主張しているように思えた。
自分の意見は天に誓って正しい、そんな揺るがない自信を感じた。
マネージャーの仕事はたいてい裏方だ。
裏方は裏方に徹すればよい、表を意識して仕事がおろそかになったら本末転倒、カッコなんかむしろ意識しない方がよい、くらいに私は思ったし、おそらく世間一般の中年男のごく一般的な反応だろうと思う。
このカッコ問題、私の中では8年目の問題となった。
十代女子、五十男、この折り合うことのない価値観の隔たりは何なのか。
これは、家庭で妻や娘から遠ざけられる父親孤立問題や、誕生日を祝うのにファミレスを選ぶ相手に不満をもつカップル問題、ひいてはセクハラ・パワハラ・モラハラをはじめとするあらゆるハラスメントに通じるのではないだろうか。
ふとそんなことを思うようになった。
不快だと思わせた側に問題があるとする現代の社会問題に適応できない、主に中高年の男たちの身勝手な思考に突きつけられた重要テーマなのかもしれない。
ハラスメントには、マタニティー、スモーク、マリッジの他、体臭で人を不快にするスメハラ、エアコンの温度を下げるエアハラ、麺類をすするヌーハラも話題になった。そういったハラスメントはすでに50種類近くあるという。
もしかしたら、数あるハラスメントの中に、カッコハラスメントが加わるかもしれない。
カッコ悪いことは不快だ、と思う人がいるなら、カッコ悪い状態は間違いなくハラスメント認定となる。
どんな男たちであっても、カッコよくないといけない時代がくると推測できそうだ。
カッコよくないと、就職、転職、出世に影響を及ぼす、あながち冗談でもなさそうだ。
見た目を気にするなど、男の風上にも置けないチャラい奴、といった根強い男社会文化もあるだろうが、第三次産業はじめ女性が活躍する社会を目指すには、男たちも意識してカッコよさ、あるいは美的センスを目指すことになるだろう。
※ ※ ※
「崎山さん、もっと口角上げましょう」
「素敵です、すごくいいです」
昨日の日曜、決めフォトという写真の撮影に参加した。
池袋のエソラの中にある天浪院書店が主催する撮影会で、プロのカメラマンが50分にわたって撮影する。
写真の被写体になることが滅多にない私が固い表情をしていると、カメラマンとアシスタントが声をかけてくれる。
先月、この撮影会を申し込んだのは、仕事でポートレートが必要だったからなのだが、思わぬ収穫があった。
「さわやかです」
「いい笑顔です」
そんな普段は絶対に言われることがない魔法の言葉の数々を浴びているうちに、自分もまだ少しはいけるんじゃないか、そんな初めての不思議な感覚が沸き上がってくる。
撮影にはきっとセラピー効果があるに違いない。
自分の顔、姿が好きな人など、そうはいない。
くせ毛、目や鼻の形、骨格、肉付き、指の長さ太さ、身体の特徴的なパーツなど、たいていの場合、本人は嫌いなものだと聞いたことがある。
しかし、他人は必ずしもそうは見ていない。
特徴的なパーツは個性として、その人らしさとなり、他の誰とも異なるプラスの特徴と思っていたりする。
普段は意識しないものの、撮影となると自分の嫌いな自分の顔、表情、姿、そんなパーツの数々を意識させられるが、プロの手にかかるとそういった嫌いな自分のすべてを受け入れられるような感覚になる。
撮影には、できればヘアメイクをお願いしたほうがよい。
装いについて考える時間も充分にとるのがお奨めだ。
また、思い切り口角を上げてみる。
大げさに上げてみる。
自分では不自然に思えても、人には自然な表情にみえるものらしい。
顔の筋肉の筋トレと考えて笑顔の回数を増やせばよりよい写真ができるに違いない。
できた写真はもしかしたら自分では気に入らない場合もあるのかもしれないけれど、いいと言ってくれる人はたくさんいると思う。
積年の問いに昨日、答えが出た。
やっぱりマネージャーはカッコよくなければならない。
十代女子の思いを共有できた気がした。
通信制シティーキャンパス
崎山潤一郎
※本文は天浪院書店のメディアグランプリにノミネートされたものを転用しました。
「ダメです。ちゃんとカッコよくしてくれないと」
私は高校生のサポートを仕事にしている。
高校生といっても働きながら高校卒業を目指す通信制の高校生。
生徒の半数は主にサービス業で、半数は芸能活動をする。
学習センターを池袋に構えて15年、昨年から新宿、原宿、渋谷でも行っている。
マネージャーもカッコよく、と主張するのは、アイドルグループのメンバーとして働くN(17歳・女子)。
所属するプロダクションで人事異動があり、新しいマネージャーが担当になったらしいのだが、そのマネージャーがあまりカッコよくない、という不満だった。
それに対して、50男の私が、
「マネージャーはカッコよくなくてもいいんじゃない?」
と放った一言に対する主張が先の「マネージャーもカッコよく」だった。
その場はそれで終わったのだが、どうしてマネージャーがカッコよくなければならないのか、ずっと引っかかってきた。
Nはかなり確信をもって主張しているように思えた。
自分の意見は天に誓って正しい、そんな揺るがない自信を感じた。
マネージャーの仕事はたいてい裏方だ。
裏方は裏方に徹すればよい、表を意識して仕事がおろそかになったら本末転倒、カッコなんかむしろ意識しない方がよい、くらいに私は思ったし、おそらく世間一般の中年男のごく一般的な反応だろうと思う。
このカッコ問題、私の中では8年目の問題となった。
十代女子、五十男、この折り合うことのない価値観の隔たりは何なのか。
これは、家庭で妻や娘から遠ざけられる父親孤立問題や、誕生日を祝うのにファミレスを選ぶ相手に不満をもつカップル問題、ひいてはセクハラ・パワハラ・モラハラをはじめとするあらゆるハラスメントに通じるのではないだろうか。
ふとそんなことを思うようになった。
不快だと思わせた側に問題があるとする現代の社会問題に適応できない、主に中高年の男たちの身勝手な思考に突きつけられた重要テーマなのかもしれない。
ハラスメントには、マタニティー、スモーク、マリッジの他、体臭で人を不快にするスメハラ、エアコンの温度を下げるエアハラ、麺類をすするヌーハラも話題になった。そういったハラスメントはすでに50種類近くあるという。
もしかしたら、数あるハラスメントの中に、カッコハラスメントが加わるかもしれない。
カッコ悪いことは不快だ、と思う人がいるなら、カッコ悪い状態は間違いなくハラスメント認定となる。
どんな男たちであっても、カッコよくないといけない時代がくると推測できそうだ。
カッコよくないと、就職、転職、出世に影響を及ぼす、あながち冗談でもなさそうだ。
見た目を気にするなど、男の風上にも置けないチャラい奴、といった根強い男社会文化もあるだろうが、第三次産業はじめ女性が活躍する社会を目指すには、男たちも意識してカッコよさ、あるいは美的センスを目指すことになるだろう。
※ ※ ※
「崎山さん、もっと口角上げましょう」
「素敵です、すごくいいです」
昨日の日曜、決めフォトという写真の撮影に参加した。
池袋のエソラの中にある天浪院書店が主催する撮影会で、プロのカメラマンが50分にわたって撮影する。
写真の被写体になることが滅多にない私が固い表情をしていると、カメラマンとアシスタントが声をかけてくれる。
先月、この撮影会を申し込んだのは、仕事でポートレートが必要だったからなのだが、思わぬ収穫があった。
「さわやかです」
「いい笑顔です」
そんな普段は絶対に言われることがない魔法の言葉の数々を浴びているうちに、自分もまだ少しはいけるんじゃないか、そんな初めての不思議な感覚が沸き上がってくる。
撮影にはきっとセラピー効果があるに違いない。
自分の顔、姿が好きな人など、そうはいない。
くせ毛、目や鼻の形、骨格、肉付き、指の長さ太さ、身体の特徴的なパーツなど、たいていの場合、本人は嫌いなものだと聞いたことがある。
しかし、他人は必ずしもそうは見ていない。
特徴的なパーツは個性として、その人らしさとなり、他の誰とも異なるプラスの特徴と思っていたりする。
普段は意識しないものの、撮影となると自分の嫌いな自分の顔、表情、姿、そんなパーツの数々を意識させられるが、プロの手にかかるとそういった嫌いな自分のすべてを受け入れられるような感覚になる。
撮影には、できればヘアメイクをお願いしたほうがよい。
装いについて考える時間も充分にとるのがお奨めだ。
また、思い切り口角を上げてみる。
大げさに上げてみる。
自分では不自然に思えても、人には自然な表情にみえるものらしい。
顔の筋肉の筋トレと考えて笑顔の回数を増やせばよりよい写真ができるに違いない。
できた写真はもしかしたら自分では気に入らない場合もあるのかもしれないけれど、いいと言ってくれる人はたくさんいると思う。
積年の問いに昨日、答えが出た。
やっぱりマネージャーはカッコよくなければならない。
十代女子の思いを共有できた気がした。
通信制シティーキャンパス
崎山潤一郎
※本文は天浪院書店のメディアグランプリにノミネートされたものを転用しました。
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