「アルバイトの時給が一気に200円も上がったんです」


それはすごい。1,100円から1,300円！
いいねえ。
人気のスイーツ店だ。忙しいんだろうね。


「慣れてますから、忙しいのは大丈夫なんです」


すばらしい。学校では学べないスキルを身につけたな。


「はい。ダンスの仕事で地方へ行くこともあるんですが両立できてます」


鹿島学園の単位も夏までにだいたいとれたし、秋冬は自由に活動できるね。


「けっこう充実すると思います」


続けているものがある、というのは才能だ。才能があるってことだ。


「ほんとですか？　勉強は全然ダメですけど」


君にはダンスを続けてゆく才能があるんだ。

全国ツアーやインストラクターまでやってる高校生は多くはないだろう。

振り付けの仕事もしたよね。


「自分ではあまり意識してなかったけど、そうならうれしいです」


目立つ活動をしていると人から妬（ねた）まれることもあるんじゃないかな？


「そうなんです。いまある人にロックオンされちゃって」


人に憧れられる活動をしている人の宿命として、だれかに妬まれると思ったほうがいい。


「ですよね。気にしないようにしています」


よし、なかなかしっかりしたメンタルだ。
その調子でね。影響受けないようにしないとね。


「はい、ダメージがないっていったらウソになっちゃうけど」


その人もね、がんばってきたのよ、きっと。
でも君を見て自信を失いかけて恐れて追い込まれてる可哀そうな人なんだ。
そういう落ち込んだ状態のときに自分を責めずに相手に攻撃的な反応をしてくる人は10人に1人くらいはいるもんだ。


「あ、そうか。じゃ可哀そうな人に同情してあげます」


そう、それくらいの交わし方ができるといいね。


「そうすれば器の大きい人になれますよね」


そうそう。それはまさに人間的成長だね。将来楽しみだよ。


「なんかとっても嬉しいです」









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